特別講義(旧、お勉強のコーナー)第2回は、電車を動かす為の架線や送電線の解説を行う。
 日本国内の鉄道の、直流電源区間での地上架線式電圧は1500Vが標準であり、近鉄グループでも標準軌/狭軌とも同じく1500Vである(東大阪線は第3軌条方式で750V)。
 また、信号や踏切、ポイント設備(分岐器)、駅構内照明その他に供給する電源の送電電圧も、日本国内標準の3300Vを採用している。
 さらにこれらの主電源となる特別高圧送電電圧も33000Vと他の私鉄会社同様である。
 これらの電源線を写真を元に図解するとともに、架線設備なども写真にて解説する。


≪送電線の名称≫


 @避雷架空線 ・・・・・・・・・・・・雷が送電線に落ちない様、わざと落雷させる為の架空線
 A特別高圧送電線 ・・・・・・・・全ての電源となる送電線。交流33,000V
 B高圧送電線 ・・・・・・・・・・・・信号機や踏切設備などの電源線。交流3,300V
 C饋電線(きでんせん)・・・・・電車に電力を供給する為の電源線。直流1,500V
 D吊架線(ちょうかせん)・・・トロリ線を均等な高さに支える為の金属ワイヤ。
 Eトロリ線 ・・・・・・・・・・・・・・電車のパンタグラフが直接接触する電線。
 F有線通信電線 ・・・・・・・・・・いわゆる私有電話線。
 G列車信号線 ・・・・・・・・・・・・ATSなどの列車走行に必要な信号の為の通信線。


≪特殊架線システム ”インテグレート架線”≫

 インテグレート架線とは、吊架線に饋電線(きでんせん)の機能を持たせたもので、設備の簡素化を図る事ができる。近畿圏ではJR大阪環状線の寺田町〜京橋〜大阪の区間がインテグレート架線をいち早く採用している。
 近鉄グループでは長野線、古市〜喜志間の南阪奈自動車道と交差する高架部分に試験的意味をもたせ、2003/平成15年から使用開始している。


南阪奈自動車道と交差する手前まではトラスビーム式架線柱だが、交差部分前後80mは鋼管ビーム式架線柱となる。写真のように高圧送電線は軌道の横(犬走り)を這う形で、饋電吊架線とトロリ線だけが自動車道の下を潜るので、外観もすっきり。








≪架線自動張力調整装置 ”テンションバランサー”≫






 コイルばね式テンションバランサー。コスト、メンテナンス性に優れている。
南大阪線では、針中野〜矢田間の
下り線、古市〜喜志間のインテグレ
ート架線区間に使用されている。
 油圧式テンションバランサ−。温度変化に影響されにくく、メンテナンス性も良い。
 南大阪線では、矢田〜河内天美間の下り線、河内天美駅・河内松原駅・藤井寺駅のそれぞれ1番線/4番線などの架線のバランサーとして使用されている。
ごく一般的なテンションバランサ−。架線の張力を錘の数で決める。
 写真は饋電線/饋電吊架線 切替部分。
 赤丸で囲んだ部分が吊架線と饋電吊架線の継ぎ目。
 写真は饋電線/饋電吊架線 切替部分。

 
饋電線
 
饋電分配線
 
■饋電吊架線
 
饋電分配線
 @避雷架空線
 B高圧送電線
 Eトロリ線
 H饋電吊架線
 Iハンガ
 長野線、古市〜喜志間のインテグレート架線区間
 長野線、古市〜喜志間のインテグレート架線区間