最終更新:2010.01.21

 1960年に大阪線モ1420形のク1520形格下げにより余剰となった電機品と別の予備台車を利用して、新製ボディーのモト2720形21・22の1ユニットが製造された。これは片運転台、車両長20mの堂々たる無蓋電動貨車で、1970年に現在のモト90形97・98と形式変更した。
 元々レール運搬用電動貨車として製造されたが、1982年の五位堂検修車庫完成に伴い、南大阪線車両牽引用に改造、無蓋部分には台車運搬積載用のレールが敷設され、制動装置は電車客車と併結するためにHSC形に変更となった。
 その後、制御装置は奈良線用800系の廃車発生品を、台車・電動機は名古屋線用1800系の養老線(現:養老鉄道養老線(*1))転属時の余剰品を流用、高性能化されている。
(*1)養老鉄道養老線は旧・近畿日本鉄道養老線が平成19/2007年9月に分社化した近鉄グループ会社です。


橿原神宮前駅構内の北側留置線で出番を待つモト97+モト98                              【2枚とも 2006.05.02 橿原神宮前】


《外観》
   
車体はマルーン地に警戒色を示す黄色の3本のラインが入     運転台側面に記された車両番号と形式プレート。
る。車両自体は台車を運搬することを目的としているため、
運転台だけが車両枠に載っている感じ。
正面は黄色のV形の警戒色塗り分けに、上部に配置された
大型のシールドビーム2灯が特徴である。

 
運転台後位のようす。パンタグラフ設置のために天板が後     モト97およびモト98の連結のようす。連結を簡素化する為
方へ延長されている。その天板の下には空気貯タンク、補     に電気連結器を装備する。電気連結器を持たない中間車両
助電源用インバータが配置される。                                    を連結する場合はジャンパー接続することも可能である。


《主制御装置》

廃車発生品の日立電機製MMC-LHTB-20Cと抵抗器群。1969年の製造から40年以上経った現在も現役として稼働、
1両あたりの瞬間総出力は実に620kWである。


《集電装置》

画像では折り畳まれており分かりづらいが、PT-42を運転
台後位に1基搭載する。


《電動空気圧縮装置》

三菱電機製D-3-F。


《台車》

廃車発生品の、KD-60Bシュリーレン台車。


《台車を積載回送する場合》

モト97およびモト98の無蓋(※1)部分には、台車を分解することなく積載できるよう、また、標準軌台車と狭軌台車の
両方が積載できるようレールが4本(外側軌間:1435mm/内側軌間:1067mm)施設されている。
台車運搬時には台車の転がりを防止する為、フックおよびワイヤで固定するとともに(画像)台車のブレーキ装置が作動
状態とするためにエアーホースを繋ぎエアー圧をかけた状態にする。

注釈(※1):無蓋(むがい)とは、車体の囲いおよび屋根の無い状態をいう。


《南大阪線系車両を牽引回送する場合》
                  ←吉野                            大阪阿部野橋→
    2両編成  
                 └ モト98 ┘                           └ モト97 ┘

    3両編成  
                 └ モト98 ┘                                          └ モト97 ┘

    4両編成      (吉野側分割編成)
                 └ モト98 ┘                           └ モト97 ┘
                     (古市側分割編成)
                 └ モト98 ┘                           └ モト97 ┘


2連車および3連車は編成組成を分割することなく、モト97およびモト98を前後に併結し牽引するが、4連車の場合、モト97およびモト98の牽引能力の関係から2両ずつ分割したうえでモト97およびモト98を前後に併結し牽引する。画像は4連車である6620系を分割したうえでモト97およびモト98と連結した例である。


車両運搬は台車を標準軌仮台車に履き替えた上で行う。
履き替えた狭軌台車はモト97およびモト98の無蓋部分に
積載する。


モト97〜モト98間で統括制御を行う為、回送対象編成の先頭車との連結は電気連結器接続およびアース線ジャンパー
接続となる(画像)、また4連車の中間車連結の場合、電気信号ジャンパーの一部接続となる(画像堰j。

《車両諸元表》
形式
モト97

モト98
自重
車体サイズ
[長さ×幅×高さ]
20,840×2,646×4,100
制動装置 電磁直通空気ブレーキ
HSC-D
制御装置
(製造/制御形態)
直並列抵抗・弱め界磁制御
MMC-LHTB-20C
(日立製作所/1C4M制御)
集電装置
(製造)
菱形パンタグラフ
PT-42 1基
(東洋電機)
主電動機
(製造/出力)
直流直巻電動機
MB−3110A
(三菱電機/155kW)
駆動方式
(歯車比)
NW継手平行カルダン式
(18:83)
電動空気圧縮装置
(製造/圧縮能力)
レシプロ式
D-3-F
(三菱電機/1000L/min)
台車
(製造)
シュリーレン式コイルバネ台車
KD-60B
(近畿車輛)

その他

統括制御による重連/強調運転が可能