最終更新:2010.01.21
                               
近畿日本鉄道株式会社 掲出許諾済

 電車線や信号系統の測定・障害物の検出などを営業運転終了後の深夜に個別に作業を行っていたが、これらを効率よく測定するために開発・製造したのが、電気検測車『はかるくん』である。
 『はかるくん』は、平成18/2006年9月、大阪線2410系W11を種車に製造/改造されており、モワ24+クワ25で構成される。検測装置類はクワ25に集約されており、電車線磨耗測定・電車線変位測定・電車線高さ測定・渡り線測定・交差部高低差測定・離線測定・硬点および衝撃検出・支障物検出・パンタ監視および前方監視・ATS地上装置検査・列車無線電界強度測定などを一度に測定できる。
 また営業車両を種車としていることから、営業車両と同じく110km/hでの走行測定ができる為、営業時間内の検測運転も可能となった。
 標準軌線ではモワ24+クワ25の構成で検測運転を行うが、南大阪線系や養老鉄道養老線
(*1)のような狭軌線ではクワ25の台車を標準軌台車から狭軌台車へ履き替えた上、南大阪線系では6200系U19もしくはU21、養老鉄道養老線(*1)では610系D13(C#613-513)もしくはD14(C#614-514)と併結し、検測運転を行う。
(*1)養老鉄道養老線は旧・近畿日本鉄道養老線が平成19/2007年9月に分社化した近鉄グループ会社です。


 
標準軌線での検測用通常組成の『はかるくん』                     南大阪線での検測運転中の『はかるくん』
                                      【2007.10.08 五位堂検修車庫】                                                  【2007.02.08 河内松原】


検測運転で大阪阿部野橋駅に乗り入れた『はかるくん』
                                         【2007.02.08 大阪阿部野橋】


《外観》
   
先頭面は基本的に他車との連結を考慮しておらず、幌座の     側面窓の殆どが埋め込まれたほか、元の2枚窓はシリーズ
撤去と前面形状の大幅な変更、ヘッドライトの移設を行って     21と同様の大型複層ガラスへと変更している。また、機材
いる。カラーリング は特急色と同色のオレンジイエローとシ     搬入出のために、両面に1箇所ずつ乗降扉は残してある。
リーズ21の下半分と同色のクリスタルホワイトがベース色      なお、側面窓/扉の配置はクワ、モワとも連結面を基準に
となっている。(画像はクワ25)                                          同じ配置となっている。(画像はモワ24)

 
車体側面には『はかるくん』のデザインロゴと親しみを覚える   電気検測車の検測内容である『無線』『電車線』『ATS』『信
キャラクターがデザインされている。                                    号機器』などをイラスト化し、見る人に親しみを覚えるように
                                                                                    配慮している。


南大阪線・大阪阿部野橋構内で顔を並べる『はかるくん』
クワ25と6020系C51/ク6136。元は同じタイプの車体が
まったく別の車両のように改造されている。


《主制御装置》

モワ24に搭載される主制御装置、三菱電機製ABFM−21
4−15MDH。2410系W11時代から継承しており、オーバ
ーホール以外の改造は受けていない。


《補助電源装置》

クワ25に搭載される補助電源装置。空気溜めタンクの左に
見えるのが電動発電機で、6400系などに搭載しているもの
と同じHG-77463で出力は70kVA。
モワ24もしくは狭軌線伴車(南大阪線では6200系)から電
源供給を行い、クワ25に積載されている検測装置類への電
源供給源となる。



《集電装置》


モワ24に搭載される。画像では折り畳まれており分かりづ
らいが、下枠交差式のPT-48を連結面側に1基搭載する。
2410系W11時代にはPT-42が搭載されていたが、改造
時に換装されている。


《電動空気圧縮装置》

クワ25に搭載される。近鉄では標準のナブテスコ製HS-10
で、2410系W11時代から継承している。


《台車》
   
モワ24/動力車用、KD-66シュリーレン台車。2410系W    クワ25/付随車/標準軌線用、KD-66Aシュリーレン台
11時代から継承している。                                               車。2410系W11時代から継承しているが、運転台側の台
                                                                                    車には車両動揺検出器を取り付ける為、軸箱にヒンジがつ
                                                                                    いたものに交換されている。


クワ25/付随車/狭軌線用、KD-61CKシュリーレン台車。
6020系廃車発生品を再生したもので、狭軌線区間(南大
阪線系や養老鉄道養老線)を検測する時に履き替えられる。
運転台側の台車には車両動揺検出器を取り付ける為、軸箱
にヒンジがついたものに交換されている。


《空調装置》

ユニット式(集約分散型)クーラー・CU−19。近鉄グループ
全体で標準の空調装置。2410系W11時代から継承して
いるが、搭載台数を4台から2台に変更となっている。
また、モワ24は車内に機材を積載しない関係上、先頭部と
中央部に分散して配置している。


《検測装置類》







 @ 投光器
 A パンタグラフ監視カメラ
 B 電柱位置検出器
 C 交差部高低差検出器
 D 電車線摩耗・偏位測定装置













 E 高さ検出器
 F 接続箱














 クワ25の運転台側屋根に実装された検測用パンタグラフ














 G 硬点・支障物・わたり・パンタグラフ衝撃検出器














 H 車両動揺検出器














 クワ25に取り付けられた前方監視カメラ



《検測運転時の標識/表示》
   
標準軌線および南大阪線系の検測時には『検測中』のパネル表示(画像)を行うが、養老鉄道養老線検測時には『試運
転』のパネル表示(画像堰jを行う。検測時標記とは関係ないが、この他に『回送』の表示パネルも存在する。


標識灯の表示(点灯)は、『試運転』を意味する両点灯となる。


《狭軌線で検測する場合》

    南大阪線系・検測編成
     ←吉野                            大阪阿部野橋→
     
    └     6200系U19/U21     ┘└クワ25┘


    養老鉄道養老線・検測編成
     ←大垣                  桑名・揖斐→
    
    └610系D13/D14┘└クワ25┘


狭軌線内を検測する場合、走行のための動力源としてモワ24の代わりに狭軌線用通勤車両(画像は南大阪線系6200系)を連結する。
連結する車両はクワ25を連結するための改造が施されており、南大阪線系・養老鉄道養老線ともに予備編成を含めて2編成存在する。


クワ25と6200系の連結部。クワ25側の連結器には電気連結器も装備されているため、電気信号関係のジャンパー線
接続は不要となるが、クワ25は電源供給設備を持たない為、6200系から電源供給を行う。画像が電力線、画像奄ェ
ボディーアースとなる。なお、養老鉄道養老線検測時の610系連結時も同様のジャンパー接続となる。


6200系もしくは610系を連結した場合、モワ24の代わりに、クワ25連結側と反対の先頭車(6200系はモ6201形、
610系はモ610形)の運転台右前面窓前に前方監視カメラを装着する。カメラと計測装置の接続は同軸ケーブルを車内
に這わす形となる。



検測運転時、6200系(画像/U21)の先頭および側面方向幕は『試運転』を表示する。養老鉄道養老線検測時の6
10系方向幕も同様である(画像堰^D13)。

《車両諸元表》
形式
モワ24(MF24)

クワ25(TF25)
自重
車体サイズ
[長さ×幅×高さ]
20,720×2,709×4,150 20,720×2,709×4,150
制動装置 電磁直通空気ブレーキ
HSC-D
電磁直通空気ブレーキ
HSC
制御装置
(製造/制御形態)
直並列抵抗・弱め界磁制御
ABFM-214-15MDH
(三菱電機/1C4M制御)
集電装置
(製造)
下枠交差式パンタグラフ
PT-48 1基

(東洋電機)
下枠交差式パンタグラフ
検測用 1基
主電動機
(製造/出力)
直流直巻電動機
MB-3110A
(三菱電機/155kW)
駆動方式
(歯車比)
NW継手平行カルダン式
(18:83)
補助電源装置
(製造/出力)
MG発電機
HG-77463
(東芝電気/70kW)
電動空気圧縮装置
(製造/圧縮能力)
レシプロ式
HS-10
(ナブテスコ/1000L/min)
台車
(製造)
シュリーレン式空気バネ台車
標準軌線用 KD-66
(近畿車輛)
KD-66A
(近畿車輛)
狭軌線用 KD-61C
(近畿車輛)
空調装置
(製造/出力)
屋根置き形ユニット方式
CU-19 (三菱電機/10500kcal/h)
2台/両